【思惑】side:公佳








【思惑】  side:公佳

 

恭介はかなり変わってると思う。

お風呂から上がってタオルで髪を拭きながらやってきた恭介を見て、そう思った。

そもそも恭介と私の関係って何?

恋人でもないし、兄妹みたいなもん?でも、血のつながりなんて一切無いし、

かといって友人って言葉も当てはまらない気がする。

私が恭介について知っている事といえば、名前、森下恭介。年齢24歳、会社員。

一人暮らしで彼女なし。・・・ってところ?

あ。このアパートも知っている事柄に入る?

身元についてはその程度。


性格は、面倒くさがり。

・・・の癖に意外と几帳面だったりするのよね。

ふと視線を感じて恭介の方を向いたらぼーっとした顔してこっちを見てた。

「なに?」

「いや。なんでも」

変な奴。

恭介が冷蔵庫の方に向かい、ビールを取り出すのが見えた。

「いいなー。恭介、私のもとって」

あ。一瞬あきれた顔した。

「ありがと」

笑顔付で返してやる。

こんなやりとり他にはない。気楽。

3ヶ月前には思いもつかなかった。こんな空間。

他の人からすればこんな関係、おかしく映るんだろうな。

あの日、ここへ初めて来る事になった日、あの日はなんとなく

家に帰りたくないなあって思ってら、「家来るか?」って何気なく恭介が聞いてきたから

頷いただけ。

ただ、それだけのこと。・・・なんだけどなあ。

普段だったら絶対にしなかったんだけど。

ま、相手は恭介だし。


・・・恭介って、ルックスはそこそこだよね。ふけてないし。

「ぷはー。うまいっ」


・・・・・・・・・・おやじ。おやじがいる。

前言撤回。お風呂上りにビール飲みながら言うセリフがすでにおやじだ。

あきれながら私もビールを飲む。・・・おいし。

なんだか居心地がいいんだよね。家よりも落ち着く。なんでだろ?

じっと、恭介を見つめてみる。

「なんだよ?」

あ。ばれた。

「しかえし」

あ。変な奴って思ってる。

だけど、恭介だって十分変だ。

なんたって、会って間もなかった頃、他人の私に合鍵くれるんだもん。

普通は合鍵なんて渡さないと思う。まあ、貰っちゃう私も私だけど。

盗みでもされたらどうする気なんだろう?

鍵の利用法なんて他にもいろいろあるって言うのに。

そんなことあほらしくてする気にもならないけど。

やっぱり恭介は変な奴だ。

・・・恭介はどう思ってるんだろう?

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